幸せになる方法~ポジティブ心理学とは~

日本は先進国の中でも、うつ病の罹患率や自殺率がトップクラスです。

皆さんもストレスフルな毎日の中で、「もっと自分らしく生きたい」「人生にハリが欲しい」「もっと心地よく過ごしたい」こんな風に感じることはないでしょうか。

そして「もっと幸せになりたい」という希望を多くの人が持つのではないかと思います。

ではどうしたら幸せに日々を過ごすことができるのでしょうか。

  • 幸せとは何か
  • ポジティブ心理学とは
  • ポジティブシンキングとの違い
  • ポジティブ心理学の基本的な考え方
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    幸せとは何か

    「幸せ」というと一般的に「happy」という言葉が浮かぶ人が多いのではないかと思います。ではどんな時にhappyと感じるでしょうか。

    例えば、欲しかった物が手に入った時や臨時収入があった時、友達がお誕生日を祝ってくれた時、こんな時にhappyを感じる人は多いのではないかと思います。

    ただ、このような感情というのは一時的で持続しないのです。

    確かにこういうポジティブな感情は大切なのですが、本来の幸せはもっと長期的なものなのです。

    これを「Well being」といい、身体的、精神的、社会的に良好な状態で長期的で持続する幸せを指します。

    ポジティブ心理学とは

    どうしたらこの「Well being」の状態を獲得できるかということを研究した心理学を「ポジティブ心理学」と言い、1998年に当時アメリカ心理学会の会長だったマーティン・セリグマンによって発議・創設されました。

    それまでは何かに悩んでいる人のネガティブな感情を対象に様々な研究が行われてきましたが、ポジティブ心理学は、今何かに悩んでいる人だけが対象ではなく、誰もが自分の人生をもっとよりよく幸せに生きるにはどうしたらよいか、ということを研究した新しい学問です。

    つまり、自分を幸福だと感じている人にはどのような特徴があるのか、どのような行動や考え方の習慣が個人や社会を繫栄させるのか、ということを統計学や心理実験で明らかにしたのです。

    ポジティブシンキングとの違い

    ポジティブ心理学とよく誤解されるのが「ポジティブシンキング」です。

    ポジティブシンキングというのは、例えば嫌なことがあった時に「こんなことを考えても仕方ない、ポジティブに考えよう」というような個人の考え方の一つです。だから特に根拠はないのです。でもこれはともすると、ネガティブ感情に蓋をして見ないようにしてしまう恐れがあります。

    方やポジティブ心理学というのはポジティブシンキングとは全く違って、ポジティブもネガティブも認めたうえで、どのような行動が人に幸せをもたらすのかを研究した科学的根拠のある学問なのです。

    ポジティブ心理学の基本的な考え方

    では、Well beingに重要なことはなんでしょうか。

    ポジティブ心理学ではそれをPERMAモデルというもので考えます。

    ①Positive Emotion:ポジティブ感情

    ポジティブ感情とは、愛、喜び、笑い、感謝といった肯定的な感情です。

    私たちが肯定的な感情を感じているときには満ち足りた気持ちになりますよね。

    例えば嫌なことがあって気持ちが沈んでいたり、イライラしていても、お笑い番組を見て笑っているうちに何だかどうでもよくなってしまう、なんていうことがあるのではないかと思います。

    「ポジティブ感情」研究の第一人者と言われるバーバラ・フレドリクソンが唱えるポジティブ感情は「喜び」「感謝」「安らぎ」「興味」「誇り」「愉快」「鼓舞」(わくわく)「畏敬」(すごい、恐れ多い)「愛」「希望」の10個です。

    ネガティブ感情を0にするのではなく、ポジティブな感情とネガティブな感情の比率を3:1の割合にしていくと、物事が好循環になっていくと言われています。

    ②Engagement:没頭や没入

    エンゲージメントとは、時間を忘れて夢中になったり、何かに集中していて、そのことすら気づいていない没頭の状態で、ポジティブ心理学の研究者の一人であるチクセント・ミハイは「フロー」と呼んでいます。近い感覚としてはアスリートたちの「ゾーン」とよばれる感覚です。日本語では「無我の境地」と呼ばれるものです。

    何かに全集中しているときというのは、時間が一瞬止まった感じがしたり、逆にあっという間に時間が過ぎてしまったような感覚があったりするのです。

    こういう時には仕事の効率や生産性やパフォーマンスがあがるのです。

    ③Relationship:豊かな人間関係

    他者とのかかわりやつながりは、人生の幸福度に大きな影響を及ぼすというのは皆さん想像に難くないかと思います。

    これはポジティブ心理学だけではなく、現実療法を創始したウイリアム・グラッサーもアドラー心理学のアルフレッド・アドラーも、人間の悩みのほとんどは人間関係の問題であると言っています。つまり裏をかえせば、人間関係がうまくいけば人は概ね幸せに生きていくことができる、ということです。

    人間関係については様々な研究結果がありますが、大切なのは人とのつながりをもっていること、そして「ポジティブでバラエティに富んだ人間関係がポイントでその中の誰かひとりでもよいので深くつながっている」ということです。

    ④Meaning:人生の意味や意義

    「価値観」「モチベーション」、そして「人生の目的」に関することです。

    自分自身の使命は何か、人生の目的は何か、何を価値とするか、ということを自分自身が意識してその活動を増やしていくことがウェルビーイングにつながります。

    ⑤Achievement:達成、完遂、マスター

    何かを達成したりマスターした時の達成感、というのは幸福感を高めます。

    日々の仕事でこのような感覚を味わうこともあるかと思います。

    先ほどのMeaningを意識しながら、日々そこに向かって何かに没頭しフロー状態になって、なおかつ達成感を得ることができればそれはウェルビーイングにつながります。

    以上のような考え方がPERMAモデルと言ってセリグマンが提唱したポジティブ心理学の基盤となる考え方です。


    それ以外にもポジティブ心理学ではウェルビーイングを獲得するための様々な方法が研究されています。こちらはまた次回ご紹介したいと思います。

    カウンセリング学ぶとネガティブ感情とうまく付き合いながら、幸せに生きるための手法を学ぶことができます。

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カテゴリ:コラム