人の役に立ちたい心理~自己有用感とメサイアコンプレックス~
皆さんも、誰かに親切にして、「ありがとう」と感謝されたら、嬉しい気持ちになりますよね。
私たちは誰しも、「人の役に立ちたい」という気持ちを持っています。
なので、いつも人のことを気にかけ、親切にすることを心掛けている人も多いのではないでしょうか。
ところが、この気持ちが行き過ぎてしまって、相手から思った通りの反応や感謝がないと、「あれだけしてあげたのに!」と強い不満を感じたりすることがあります。 なぜこのようなことになってしまうのでしょうか。
- 自己有用感について
- メサイアコンプレックスについて
- まとめ
自己有用感について
「人の役に立ちたいという気持ち」これを「自己有用感」と言います。自己有用感とは「自分は誰かの役に立っている」「活躍の場がある」「感謝される場がある」という感覚で、他者からの評価があってはじめて生まれるものです。
私たちには承認欲求といって「人から認められたい」という基本的な欲求があります。
誰もが他者との関係の中で「自分の存在価値を見出したい」という気持ちがあり、それが満たされることで自己有用感が育まれます。
この自己有用感は自己肯定感にもつながる大切な感情で、これ自体は非常に健常な感情です。
メサイアコンプレックスについて
ところが、この気持ちが行き過ぎて「親切の押し売り」になってしまうことがあります。
頼まれてもいないのに、世話を焼きたがったり、面倒を見たがったりして感謝を強要してしまうのです。
そこまででなくても、私たちは人から相談された時に、ついつい「自分が何とかしてあげよう」「自分が相手を変えてあげよう」と思ってしまうことがあります。
つまり相手の「救世主」になろうとしてしまうのです。
このように、自分が世話を焼いてあげたり、面倒を見てあげたりすることで相手の救世主になろうとすることを「メサイアコンプレックス」といいます。
何でことさら人の世話を焼きたがるのかというと、相談に乗ったり世話を焼いたりすることの向こう側に「だから私を認めて!」という承認欲求があるわけです。
相手に頼られ必要とされれば、承認欲求が満たされ、自分のコンプレックスが解消するからなのです。
承認欲求は誰でもが持っている欲求ではありますが、あまりにも強すぎると、自分の承認欲求を満たすために相手を利用していることになります。
これは相手のことを考えているようであって実は自分の方に意識の矢印が向いているということです。これには注意が必要です。
まとめ
自分の親切に対して、相手から感謝されたいという気持ちは当然ですが、相手がどう感じ、どう行動するかは相手の自由です。相手の反応に不満を感じるときには、「感謝を表すべきである」「私のことをもっと大切に扱うべきである」というような思考がないかどうか点検し、自分の承認欲求を押し付けていないかどうか考えてみることが大切です。
カウンセリングを学ぶと、自分の心を客観的に理解することができます。
それによって、周りとの人間関係を今より豊かにすることができ、人生に役立ちます。
カウンセリング講座ならAPC付属心理教育学院
Facebookにて新着情報を随時更新中です!
https://www.facebook.com/apc.shinri