変わりたいのに変われない人の心理
「もうこんなことしない方が良いということは重々わかっている、次こそは頑張ろう」そう頭では意識できているのに、結局はいつも変われない、同じことを繰り返してしまう、こんなことはないでしょうか。変わりたいのに変われず、ずっと悩み続けてしまう人がいます。なぜなのでしょうか。
- どう行動すれば良いかがわからない
- 疾病利得がある
- 変化することへの抵抗が現われる
- 解決方法は?
どう行動すれば良いかがわからない
人は悩むとき、不安や憂鬱やプレッシャーなど、必ず不快な感情が伴います。しかし、感情はいくら一生懸命頑張って変えようと思っても、意思の力では変えることができません。
ではどうしたらよいかというと、感情に影響を与えている思考や行動を変えることが重要です。特に行動が変わると視野が広がりやすくなるので思考が変わりやすく、その影響で不快な感情も変わりやすくなります。どうればよいかわからない、と悩んでいる人がいますが、これは「どう行動すればよいかわからない」ということです。行動が変われば自然と不快な感情が変わっていきます。
疾病利得がある
どう行動すれば良いかがわかったら、あとは行動すれば良いだけなのですが、それでもなかなか変わることができずに悩み続けている人がいます。それはその悩みに「疾病利得(しっぺいりとく)」があるからです。
疾病利得とは悩みや症状を抱えていることで生じる様々なメリットのことです。
例えば、問題を抱えていると周りの人がことさら注目してくれて優しくしてくれる、ということがある場合があります。そしてそれが無意識のうちに問題を抱え続けるメリットとなってしまうことがあります。意識の上では変わりたい、と思っているけれど無意識ではメリットがあるため変わりたくないのです。
心理学者のアルフレッド・アドラーは目的論という考えを提唱しました。
これは何か原因があって悩む、という因果論ではなく、目的が先にあって悩むという方法を選択しているんだ、という考え方です。
つまり、人の注目や優しさを引き出したいという目的があるから悩むという手段を無意識のうちに使っているのだ、という考えです。
変化することへの抵抗が現われる
それ以外にも私たちには変化を望みながらも変化に抗いたいという気持ちがあります。
これを「抵抗」と言います。
今までの自分が嫌だと思っていても、それは自分らしさの一部でもあり、私たちの自己概念(自己イメージ)を作るものだったのです。例えば、消極的で自己主張できない自分を変えたい、と思っていても、今まで「消極的で自己主張できない自分」という自己概念を前提にして人間関係を作ったり自己表現をしてきたわけです。嫌だと思っていたとしても長年もっていた愛着のあるパターンなのです。
そのパターンを変えることには不安や戸惑いがあるのは当然です。
解決方法は?
現実療法の創始者であるウイリアム・グラッサーが提唱する「選択理論」によると、すべての感情と行動は自らが選び取っているといいます。つまり、「悩み続ける」というのもその人の一つの選択であるのです。
ただ、変わりたいのに変われない、という場合は上記の心理メカニズムを理解し、変わらないメリットを自覚したうえで、どう行動するのかを選択することが重要です。
今までの自分には必ず意味があります。大切なことは、その意味を理解し今までの自分を否定しないで、そうせざるを得なかった自分を受容することです。
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