充実した人生を送る方法
「充実した人生を送りたい」とか「幸せな人生を送りたい」ということは、誰もが考えることなのではないかと思います。では、どのようなことが人生の充実や幸福であると考えるでしょうか?
私たちは、年収の高い職業についたり、名の通った学校に通ったり、ブランド品を身に着けたり、誰もがうらやむようなわかりやすいポジションについていたり、たくさんのグッズやアイテムを持っている人のことを「人生の成功者である」と考えがちです。そしてそのような人はさぞかし人生が充実感や幸福感で満ちているのではないか、と想像します。
でも、実はそのようないわゆる人生の成功者が皆、幸福で充実した人生を送っているかというとそうとも言えないのです。
成功と幸せは必ずしも一致しないといわれます。 これはどういうことでしょうか。
- 「地位財」では充実感は得られない
- 数量化できる「地位財」の罠
- 「非地位財」を充実させる
- 過度な承認欲求を持たない
「地位財」では充実感は得られない
成功者が持っているような、地位というポジションや収入や物というグッズをポジティブ心理学では「地位財」といいます。
一時期、「勝ち組・負け組」という言葉が流行ったことがありました。
年収の高い仕事についていれば勝組、そうでなければ負け組、偏差値の高い学校に通っていれば勝組、そうでなければ負け組、などという考え方です。
このように、私たちは自分や相手をポジションやグッズによって単純に勝ち負け、なんていうようにラベリングしてしまう傾向があります。
そして、あの人が充実しているのは「お金持ちだから」「○○という職業についているから」「容姿端麗だから」などと考えがちです。
でも、カウンセリングをしていると、このようなポジションやグッズを手に入れられなくて絶望している人ばかりでなく、もうすでにたくさん持っているのにすべてを手に入れようと必死になったり、それを失わないよう身体を壊してまで死守しようとしている人もいます。
そして、ポジションやグッズをどれだけ持っているのか、ということを人と比較して、持っているものが人より少なければ劣等感を感じたり逆に人より多くのものを持っている、と優越感に浸ったりしているのです。
でも、これではいつも競争の中で安らぐことができず、本当の意味での幸福や充実は感じられないでしょう。
数量化できる「地位財」の罠
ポジションやグッズという地位財は高いか低いか、または、多いか、少ないか、と量的に人と比較できる指標です。つまり、地位財にこだわることは、常に比較の中で幸せを測ることになるのです。
地位財で得られる幸せというのは一時的なものなのです。例えば欲しかったブランドもののバックを手に入れたとします。手に入れた一瞬はhappyかもしれませんが、新しいモデルが発売されると今度はそちらが欲しくなって、持っている人を羨ましいと感じたり、自分の持っているものが古臭く感じるなどということになってしまいます。地位財はすぐに他人との比較が始まって、そのとたんに幸福度は下がってしまいます。
確かに日本全体が貧しかった戦後の高度経済成長期は、地位財を手に入れることが充実や幸福に結びついていた時代だったかもしれません。でも、日本全体が豊かになった現代では、地位財で得られる幸福には限界があるのです。
ところが、今も尚、この地位財を手に入れることが人生の充実や幸福であるがごとくそこに向かって必死に努力を続けている人たちが非常に多いのです。
「非地位財」を充実させる
では、本当に豊かであるとか充実しているとか幸せであるというのはどういうことなのでしょうか。本当の意味での充実や幸せ、というのは瞬間的なHappyではなく、もっと長期的なものです。
それは他人と比較できる「地位財」を持っていることではなく、誰とも比較できない「非地位財」と呼ばれるものを持っていることなのです。
「非地位財」とは何かというと、例えば、自分の好きなことや自由な時間、人とのつながり、友情や愛情など、目に見えないもの、数値化できないもののことです。
数値化できないので、他人と比較できません。これはその人それぞれのオリジナルで質的なものなのです。
では、どうやってこの非地位財を探すのか、というとそれは自分自身に質問をしてみる、つまり自問自答を繰り返すことなのです。
「私が本当に満たされた気持ちになることはなんだろう?」
「私が本当に欲しいものは何だろう?」
と内省してみることなのです。
今、巷ではハウツー本が人気です。こうすればこう生きられますよ!などの指南本のようなものもたくさんあります。でも、自分の人生を充実させる方法の答えは、は自分の中にしかないのです。
だから、じっくり自分に向き合って本当に自分が欲しているものは何なのか、どう生きていくのかということを考えることが重要です。
過度な承認欲求を持たない
また、充実した人生を送るためには、周りに承認を求めすぎないということです。
私たちは他人の目や評価を意識して行動してしまう、ということがよくあります。
分かりやすい例で言えば、親から認めてもらうためにこの学校に入った、とかこの職業についた、などというものです。
それ以外でも、SNSでいいね!がもらえるか、フォロワーが何人つくかばかり気にしてしまう、などというものです。
これでは本当の意味で充実感や幸福感は得られません。得られたとしてもそれはやはりほんの一瞬、つかの間の満足感であって、またすぐに他人からの承認が欲しくて自分を駆り立てることになります。
先ほどの「私の本当に欲しいものは何だろう?」という質問の答えが「他者からの評価」という人は要注意です。
実は、承認欲求が強い人ほど、ポジションやグッズという地位財にこだわる傾向があります。なぜかというと、地位財というのは人からみて、手軽に承認を得やすいアイテムだからです。
地位財がたくさんあるほど、人から「すごいね」と承認される。そうすると、それが強化因子になってしまい、地位財を集めることにこだわってしまいがちです。
「承認欲求」というのは、人間の基本的な欲求なので、持っていない人はいません。誰しもが多かれ少なかれ他者の承認を得ながら自分を確認して生きています。
でも、他人からの承認を得ること自体が目的となってしまうとそれは危険なのです。
なぜなら、自分の人生を見失ってしまうからなのです。
承認欲求というのは突き詰めて言うと、小さい頃、親から承認を貰いたかった、親から認めてもらいたかった、という気持ちを出発点としています。
大人になった今も、その満たされなかった思いを何とか満たそうとして周りの承認を過剰に求めてしまう人がいます。
カウンセリングの理論の一つに「脚本分析」というものがあります。
私たちは幼少期に親からもらった脚本の上を生きてしまっていることがありますが、充実した人生を送るためには親の書いた脚本通りに生きるのではなく自分が自分の人生の主人公となり、自分で書いた脚本を生きる必要があるのです。
そのためには一度、自分自身を振り返ることが重要です。
充実した人生を送るためには、親がどうか、周りがどうか、ではなく「誰が何と言おうと、私自身が大切だと思うもの」を見つけることが何よりも大切です。
カウンセリングを学ぶと自分自身を振り返る機会が多くなり、自分にとって本当に大切なものが見つかります。
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