マスク警察の心理~同調圧力とは?~
昨今のコロナ禍で「自粛警察」、「マスク警察」、「帰省警察」などと呼ばれる人たちが出現しました。自粛しない人、マスクをつけない人、東京から帰省してきた人などに対し、「ルールを守れ!」と声高に攻撃する人たちです。
なぜこのような人たちが現れたのでしょうか?この人たちの心理はどのようなものなのでしょうか?今回は同調圧力について解説します。
- 日本人の同調圧力
- 同調圧力とは?
- 同調圧力のメリットとデメリット
- 違いを認め合える社会
日本人の同調圧力
外出自粛要請が政府より発令されたときに、何の罰則もない日本のやり方は海外諸国に比べ緩すぎるのではないか、と批判されました。しかし、結果としてほとんどの日本人は政府の指示に従って行動を自粛しました。
これはなぜでしょうか?
そこには日本人ならではの同調圧力が働いたものだと考えられます。
同調圧力とは?
では同調圧力とは何でしょうか?
同調圧力とは集団において、 少数意見を持つ人に対して、周囲の多くの人と同じように考え行動するよう、 暗黙のうちに強制することを言います。
日本人は特にこの同調圧力が強い民族だと言われます。
それは、日本の文化と関係があります。
日本人は農耕民族として村という共同体を作り田畑を耕して生活をしてきました。
村の規律を破れば「村八分」となり、共同体から締め出されてしまうことになります。これでは生活していけないため、周りと協調し、足並みを揃えることが重視されました。そのような文化の中で、日本人は「皆一緒」、「出る杭は打たれる」という価値観を形成してきたのです。
日本人がことさら「世間体」を気にするのもこのような背景があるからなのです。
戦後の日本は、生活様式もアメリカナイズされ、急速に西洋化していき、西欧の個人主義を取り入れてきたように見えます。ところが、コロナ禍のような緊急事態になったとたん、本来日本人が持っている共同意識的なものが露呈してきたのではないでしょうか。
同調圧力のメリットとデメリット
日本人はマナーが良いとよく言われますが、この同調圧力がうまく働くと、規律を重んじ、治安を安定させる力となります。日本人はチームプレーのスポーツが得意だと言われますが、これもこの同調圧力がうまく働き結束力を強めるからかもしれません。
ところが、この同調圧力が悪く働いてしまうと、昨今の○○警察のように、わずかな違いを見つけて攻撃したり、トイレットペーパーなどの買い占めをしたり、感染者を差別したり、異論を排除する方向に働いてしまうのです。
違いを認め合える社会
現代は多様性を認めあえる社会が求められています。
同調圧力が悪い方へ働かないためには、個人個人が違いを認め合う寛容性を持つことなのではないでしょうか。
コロナ禍のように、状況が刻々と変化する中では、なかなか一つの正解を導き出すことは難しいと言えます。そのような中では、様々な考え、価値観をもつ他者と話し合い、折り合いをつけたり、妥協点を見出していくことが大切なのではないかと思います。
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