依存症の原因と克服法
コロナウイルスによる緊急事態宣言が延長され、外出自粛が長引くことでストレスを抱えている人が多いのではないでしょうか。
私たちはストレスフルな状況が続くと、無意識のうちに何とかそのストレスに対処しようとします。例えば、美味しいものを食べたり、好きなことをしたりして、ストレスを緩和させようとします。ところが、その対処の方法が時には不健全な場合があるのです。
その代表的なものが「依存症」です。
「依存症」とは、お酒や薬物の使用・ギャンブル・ゲームや動画、買い物・特定の人間関係などにのめり込み、日常生活に支障をきたしているにもかかわらず、量や頻度や場所や状況を自分ではコントロールできない状態を言います。
その結果、周囲の人に迷惑をかけてしまうことになります。 どうしたらよいのでしょうか・・・
- 依存症の種類
- 依存症の原因
- 依存症を克服するためには
依存症の種類
依存症には①物質依存、②プロセス依存、③人間関係依存というものがあります。
①物質依存・・・物質から得られる快楽に依存
アルコール、薬物、タバコなど
②プロセス依存・・・行為によって得られる快楽に依存
ギャンブル依存、買い物依存、ゲーム依存、ネット依存、セックス依存など
③人間関係依存・・・ある特定の人間関係に依存
恋愛依存、DV、ストーカーなど
依存症の原因
ではなぜ依存症に陥ってしまうのでしょうか。
それには様々な原因があります。
①心理的原因
強いストレスや不安、孤独感などが原因という場合も多くあります。このようなネガティブな感情から一時的に逃れる方法として物質や行為に依存するのです。
②社会的原因
「お酒が強くて男らしい」「いつも新しい服を着ていて素敵ね」「いつも周りに異性がいてモテるのね」など、時に周囲からの評価が依存行為を強化してしまうことがあります。
また、私たちの生活はお酒やゲーム、買い物など、消費を促すような刺激にあふれています。
こういった環境からの刷り込みが原因という場合もあります。
③身体的な原因
また、脳の観点から言うと、物質や行為によりドーパミンという快楽物質が分泌されます。この快楽物質が脳内に放出されると中枢神経が興奮し、それが快感・喜びにつながります。この感覚を、脳が報酬というふうに認識すると、その報酬を求める回路が脳内にできあがります。
そして繰り返すうちに脳が刺激に慣れてしまい、より強い刺激を求めるようになってしまいます。
依存症を克服するためには
①自分の依存行動に気づき認めること
依存症になると、自分自身の行動が客観的に理解できず、「まだまだ大丈夫」と問題から目を背けたり認めないということが多々あります。
周りの人の声に耳を傾け、自分自身の問題行動に気づき認めることが第一歩となります。
②ひとまずその対象から距離を置くこと
依存対象に費やす時間、費用など数値で測れるものを記録し、少しずつ減少させていくことです。そしてそれまで費やしていた時間や費用を他の健全なものへ振り替えていくのです。
③満たされない自分の心の状態に向き合うこと
多くの場合、依存行動は満たされない心やネガティブな感情のはけ口です。一時的に快楽を感じ問題から目をそらすことが出来ますが、根本的な問題は何も解決していません。
自分の抑圧しているネガティブな感情に気づき、建設的な方法で解消することです。
カウンセリングでは、その人の性格や状況などに応じて、認知行動療法だけでなく行動療法の様々な技法、また分析をはじめとした精神力動的アプローチなどを組み合わせて行っていきます。
また、薬物依存症やアルコール依存症は、医療機関の受診が必要です。薬物療法や自助グループへの参加が有効な場合もあります。
人間は皆パーフェクトではなく、どこかいつも満たされないものを抱えています。
特に今のような緊急事態で自粛を強いられる生活というのは誰にとってもストレスフルです。だからそれをお酒や、SNSや買い物や恋人、友人などの人間関係で解消したり、満たされないものを満たそうとするのです。このような心理は誰にでもあるものです。
ただ、ストレスや満たされないものがあまりに大きいと、それを何とか解消したい、満たしたいというエネルギーも大きくなり依存症に陥るリスクも大きくなるので注意が必要です。
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