上手な自己表現の方法とは?
「言っていることは間違っていないけれど、言い方が悪い」なんて言われたことはありませんか?
自分の感情に気づき、ブレーキをはずしたら、本音を話せばいいわけですが、ただ言えばいいかというとそうではなく、今度はそれを上手に表現する技術が重要になってきます。
そのためには、
などの方法があります。
①自己開示する
自己開示というのはつまり自分の感情を素直に率直に述べることです。
「実は私、今こんなことで悩んでるんだ」とか「昨日、友人にこんなこと言われてショックだった」なんていうものです。
中々、自己開示できないという人の中には自分のプライベートな部分がわかると馬鹿にされるのではないか、嫌われるのではないかと防衛してしまって、オープンになれないと言う人が多いようです。でも、本当は逆のことが多いのです。人気者はえてして自己開示が上手な人が多いのです。
自己開示されると、「自分に心を開いてくれた」と嬉しく感じます。そして、「そこまで話してくれたんだから、じゃあ自分も話そう」という気持ちになり、関係を深めていくことができるのです。
ただし、この自己開示は徐々に、というのがポイントです。
初対面の人にいきなり個人的な話をオープンにしてしまうと、心の準備ができていなくて相手の負担になってしまうこともあります。内容によっては失礼な人、ということになってしまいますので、その点はちょっと注意が必要です。
②ボキャブラリーを増やす
そしてボキャブラリーを増やすということも重要です。相手によって同じことを伝えるのでも言い方というのは変わってくるはずです。
例えば、自分よりずっと年上の社会的に地位のあるような人と一緒に食事に行ったときに使う言葉、距離のとり方と、友人と一緒に食事に行ったときに使う言葉、距離のとり方というのは違いますよね。
また、今の若い人を中心に、「ヤバイ」という言葉が多く使われます。中には、嬉しくても悲しくても楽しくても驚いても、それを表す言葉は「やばい」だけ、という人も。自分の感情を表すボキャブラリーが貧困だと言われています。
本当は日本人はボキャブラリーが豊富なはずなんです。
日本には相手を好きだという時にも色々な言い回しがありますよね。例えば、「好き」「愛してる」「愛しい」「慕う」「片思いする」「恋焦がれる」「惚れる」など。色々な表現法があるということは、それだけ感情が豊かにあるということなのです。
そうでなく、「好きだ」、「愛している」の二つしかなかったら、微妙な感情は育まれません。
なぜ日本人はボキャブラリーが豊富なのかというと、はっきりとした四季があって、そういう豊かな自然にとりかこまれて、感受性を発達させてきたからだと思われます。「わび」「さび」「もののあわれ」という繊細な文化も日本ならではですよね。
ところが、今は社会の中で、オンかオフか、好きか嫌いかという二者択一を迫られることが多い。こういうスピード社会ではそのほうがわかりやすい、ということなのかもしれません。でもそれに伴ってボキャブラリーが貧困になり、日本人の感性豊かな心も失われてしまっているのかもしれません。
また、ボキャブラリー貧困になる原因として、本を読まないということも一因としてあるようです。学校の図書館利用が年々減っているようです。
ボキャブラリーを増やすためには本を読むようにするというのも一つの方法です。
③具体的に話す
3つ目はなるべく具体的に例を挙げて伝えるということです。
話しをする時には、やはりいかに相手に伝わる表現をするかということが大切です。
ポイントは、「いかに例え話をして具体的に話すか」ということです。
抽象的な言い回しではなく、「例えば・・・」とか、「これはどういうことかと言うと」など、相手がイメージできるように具体的に話すことです。
④主語を「私は~」にする
例えば、こんな会話があったとします。
妻1 :「ねえ、帰りに牛乳買ってきてって頼んだよね。忘れてるじゃない。」
夫1 :「え?そんなこと言ってなかったじゃないか。」
妻2 :「あなたが出かける前に言ったじゃない!あれほど言ったのになんでちゃんと聞いてないの?」
夫2 :「出かける前?なんでそんな忙しい時にそういうこと言うんだよ。ちゃんと紙にでも書いて渡してくれよ。」
妻3 :「もういいわよ。もう頼まないわ!」
夫3 :「そうしてくれよ!」
この会話、よく見てみると主語がほとんど、私ではなく、あなたになってしまっ
ているんです。
妻1 :「ねえ、帰りに牛乳買ってきてって頼んだよね。(あなた)忘れてるじゃない。」
夫1 :「え?(あなた)そんなこといつ言ってなかったじゃないか。」
妻2 :「あなたが出かける前に言ったじゃない!(あなた)あれほど言ったのになんでちゃんと聞いてないの?」
夫2 :「出かける前?(あなた)なんでそんな忙しい時にそういうこと言うんだよ。(あなた)ちゃんと紙にでも書いて渡してくれよ。」
妻3 :「(あなた)もういいわよ。もう頼まないわ!」
夫3 :「(あなた)そうしてくれよ!」
こんな風に主語をあなたにしてしまうと、言われた相手は責められているとか攻撃されていると感じてしまいやすいのです。
自己主張するときの基本は、主語を私は~にして、どう感じるのかを自己開示することなのです。
例えば今の例を「私」を主語にして言い換えてみるとします。
妻1 :「ねえ、帰りに牛乳買ってきてって頼んだよね。(わたし)見当たらないんだけど」
夫1 :「え?(わたし)聞いた覚えがないな」
妻2 :「あなたが出かける前に(わたし)言わなかった?伝わってなかっ た?」
夫2 :「出かける前?忙しい時に言われると(わたし)忘れちゃうんだよな。紙にでも書いて渡してくれると(わたし)助かるよ。」
妻3 :「わかった。今度から(わたし)そうするわ。」
夫3 :「お願いします。」
このような感じですね。責められているという気持ちにならず、建設的な会話になります。
⑤適切に自己主張する
適切に自分の気持ちを表現する方法がわからないという方は結構多いようです。言いたいことがあるのに、どう言っていいかわからない、言えない、という方。もしくは、その反対に、思ったことをストレートに言い過ぎてしまってトラブルになってしまう、という方。適切な表現というのは、結構難しいですよね。
では、適切に自己主張するとはどういうことなのか、というと、自分も相手も活かしながら上手に自分の気持ちや意思を伝えることなのです。相手をたてて自分の気持ちを殺してしまうのでもなく、逆に自分の気持ちを優先させて相手を無視してしまうのでもなく、両方をうまく活かしてなおかつ、自分の言いたいことはきちんと伝えるということなのです。
例えば、ちょっと例題を元に考えて見ましょう。
あなたには少々わがままで強引な友人がいます。その友人からどうしても今度の日曜日に会いたいと言われました。でもその日は前々から楽しみにしていた映画を見に行くつもりでした。本心は断りたいのですが、どう言えばよいかわかりません。さて、どのように断りますか?
上手に伝えられないというときにやりがちな対応は、
a、相手に遠慮して消極的になってしまう
断って嫌な顔をされるのが怖いので、渋々会うことを了解する。
または
b、に攻撃的になってしまう
「そんな急に言われても困るよ。私は私で予定があるんだから!」と
突き放す。
などが考えられます。
では、適切に自己主張するとどうなるでしょうか?
適切な自己主張とは、言わなければならないことはきちんと伝えることです。ただ、その時の言い方を考えることが重要です。そのためには、 DESC法が有効です。
D(describe)・・・状況を説明する
E(express)・・・自分の気持ちを表明する
S(specify)・・・相手にとってもらいたい行動を提案する
C(choose)・・・譲歩、妥協点を提案する
「今度の日曜は映画を見に行くつもりだったんだ。前々から楽しみにしてたからどうしても見たいんだよね。またにしてもらえるかな?どうしてもということであれば夜だけならいいよ。」
このように自分の気持ちと相手の気持ちの折り合いをつけながら自分の言いたいことはちゃんと言う、ということが重要です。
上手な自己表現にはある程度の技術が必要です。でも、やはり人と人とのコミュニケーションで大切なのは技術よりも、相手を知りたい、もっと分かり合いたいという気持ちなのです。
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