悲しみを癒す方法~グリーフケア~
「身近な大切な人が亡くなった」
「家族同然のペットが亡くなった」
このような体験の後、悲しみからなかなか立ち直れず下記のような症状が出てしまう方がいます。
①悲しくて悲しくて仕方ない。思いだすと涙が止まらない。
②ちょっとしたことで思いだされて胸が張り裂けるような思いがする。
③ああすればよかった、こうすればよかったという後悔やできなかったことへの罪悪感に苛まれる。
④自分も死んでしまいたい、誰とも会いたくない、何もやる気が起きないと閉じこもってしまう
なぜこのような症状が出るのでしょうか。
これらは悲嘆反応(グリーフ)と呼ばれるもので、誰でも起こりうる当然の反応であって悲嘆にくれること自体は全く問題ありません。
一般的には時間の経過とともにだんだんと辛い現実を受け入れていくようになるものです。
ところが、悲嘆から立ち直る過程がうまく進まず、長い時間がかかって日常生活に支障をきたしたり、仕事が手につかなくなったり、鬱病や身体の病気を引き起こしたりする場合は専門家によるグリーフケアが必要になります。
このような場合はどうしたら良いのでしょうか・・・
グリーフケアの具体的な方法としては、「悲しいのは当たり前」と悲しむことを認めてあげることです。
悲しいというのは故人との絆が強かった証拠です。早く立ち直らなければ、と焦ったり悲しみを抑えようとせず、感情を何らかの形で表現することが大切です。
友人に話を聴いてもらったり、日記に書いたり、個人の思い出を語り泣き悲しむことでカタルシス効果が得られ楽になれるのです。
カウンセリングではナラティブセラピーという方法もあります。
人は誰でも自分の物語を作って生きています。ところが大切な人がいなくなるというこ
とはその物語の重要な登場人物が突然いなくなることです。
だからカウンセラーの力を借りながら現実を受け入れ、前向きに意味づけることができるようにその物語を書き替えていく作業が必要になります。
具体的には辛い体験を語ることで自分を納得させ、他者にも理解してもらい、その喪失体験に意味を見出していけるようにしていく、またそのプロセスを通して喪失と折り合いをつけていくことです。
ただし、次のような場合は精神科を受診すべきです。
①あまりにも悲しみの度合いが強かったり
②鬱の状態が酷い場合、自分も死にたいなど自殺を考えるような場合
③辛さを忘れるためにアルコールや薬物に走る場合
④身体病など健康が脅かされているような場合
人が成長してくプロセスというのはある種、「別れの積み重ね」であって、
人はさまざまな別れと悲しみを経験して成長してくわけです。
大切なのは、悲しいことや辛いことを忘れるのではなくその辛さや悲しみを受け入れて、さらにそこに新しい意味を見出していくことなのです。
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